イノベーションとは、必ずしも世界初の技術や発明を意味するものではありません。大切なのは、それが人々に受け入れられ、社会に広がること。つまり「創新普及(そうしんふきゅう)」があってこそ、イノベーションは成功したと言えるのです。
イノベーション=創新普及という本質
日本語で「イノベーション」はよく「技術革新」と訳されますが、それだけでは実態をとらえきれません。本来の意味に近い訳は「創新普及(そうしんふきゅう)」です。
「創新」は新しいアイデアや仕組みを作ること、「普及」はそれを広く人々に届けること。つまりイノベーションとは、「価値ある新しい仕組みを生み出し、それを多くの人に使われる状態にする」ことを指します。
成功するイノベーションに必要な4つの条件
関西学院大学の玉田俊平太教授によるとイノベーションが成功するために不可欠な4つの条件があると言います。

① 顧客の「ジョブ(叶えたい進歩)」を見つける
イノベーションの出発点は、「誰の」「どんな困りごと・望み」を解決するのか、という顧客のジョブ(Job)に注目することです。たとえば「もっと短時間で健康的な食事がしたい」といったニーズがジョブになります。
② 良い解決策を考える
ただのアイデアではなく、実際にそのジョブを解決できる手段が求められます。機能的であることに加え、使いやすさや価格など現実的なバランスも重要です。
③ いち早く普及させる
優れたアイデアも、誰にも使われなければ意味がありません。マーケティング、販売チャネル、価格設定などを工夫し、ターゲットユーザーにいち早く届ける戦略が求められます。
④ そこから利益を獲得する
社会に広まった後、それが持続可能であるためには、ビジネスとしての利益が確保されていなければなりません。価格設定、継続課金、関連サービスの展開など、利益を生む仕組みも不可欠です。
「世界初」である必要はないのか?
多くの人が「イノベーション=最先端技術」だと思いがちですが、実際にはそうではありません。例えば、iPodはMP3プレーヤーとしては後発でしたが、「iTunesとの連携」や「簡単な操作性」によってユーザーのジョブを的確に捉え、大ヒットしました。
このように、既存技術でも“どう組み合わせ、どう届けるか”によってイノベーションは実現できるのです。
まとめ:イノベーションは「創って」「届けて」「利益を生む」までがワンセット
項目 | 説明 |
---|---|
ジョブ発見 | 顧客の叶えたい進歩を見つける |
解決策 | 現実的かつ有効なソリューションを設計 |
普及 | できるだけ早く市場に広める |
利益化 | ビジネスとして持続可能にする |
コメント